出品者のストーリーが見えるお店「PASS THE BUTTON」

出品者のストーリーが見えるお店「PASS THE BUTTON」

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『Soup Stock Tokyo』や『giraffe』を仕掛けるスマイルズが、その事業のひとつとしてリサイクルショップ業界に新風を吹き込んだ『PASS THE BATON』。第一号の丸の内店に始まり、広々とした表参道ヒルズ店には、一般の人からの出品を受けつけるカウンターや、世界中から選んだアーティストやクリエイターによる展示、トークショー、ライブ、スペシャルイベントが開けるギャラリーが設けてあります。

pass the baton store 6(写真:出典サイト

単に不要なものの販売を代行するリサイクルショップは昔からあるものですが、特徴的なのは、その仕組みや世界観。

この店では、使わなくなったモノを、誰がどんなときに入手して、どうして手放すのかというストーリーを添え、出品者個人の歴史や価値観を感じさせる情報と一緒に提供します。そして「この人のセンスが好き」と出品者自体にファンがつくこともあるから、このやりとりが楽しいと、オープン以来、定期的に出品してくださるリピーターもいらっしゃるそうな。

また、モノをキュレーション、つまり編集することで『PASS THE BATON』ならではの世界観を表現しています。少し手を加えることで元のモノをより魅力的にする提案や、物理的なモノの背景も含めた思いを伝えるかたちもまた、リサイクルの新しさを提示していると言えるのではないでしょうか。

「個人の文化を尊重しあい、交換しあう」――モノというより、モノを媒介としたコトをリサイクルさせる場であり、まさに「パスザバトン=バトンを渡す」というショップ名がそのまま反映された試みです。

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商品が売れた時、店舗の場合は売上の50%を、ウェブの場合はで売上の10%を店側に支払う仕組みになっています。個人が得た利益は、特定非営利活動法人であるチャリティ・プラットフォームを通じて、子供、食、スポーツ・芸術、環境、自然の五分野を選んで寄付することができます。PASS THE BATONでエコな商品を買ったら、さらに社会貢献につながる寄付になっていた、なんてことが起こるのです。

pass the baton store 7

扱われる商品は、大きくRecycle、Remake、Relightの3つに分けられます。

Recycelは、「結構好きだけど使わない。でも捨てるのは惜しい」というもの=個人が持っていて使われていないものを指します。それに加え、いわゆるアンティークも広い意味でリサイクルの範囲と捉えられます。

Remakeは、「ちょっとキズのある品や、シーズンを過ぎたモノに、手を加えることによって、もっと素敵にできないか」という思いを込めたもの。たとえば、ヨーロッパ各国を走るトラックで使い古された幌やシートベルトなどを材料にしたバッグブランドの「FREITAG」なども含まれます。

Relightは、「一度舞台を降りたモノたちを、その本質の価値を生かしながら、もう一度光を当てることはできないか」という意図から生み出したもの。たとえば、丸の内店で大ヒット商品になった「ラスクセット」は、カップとラスクが一緒に「パスザバトン」のマークが付いたビニール袋に入ったパッケージにし、面白く組み合わされ、つい欲しくなってしまう一品です。

toyama 1(写真:出典サイト

「廃棄するのではなく、めいっぱいよく見せてあげることで、再びステージに上げる。その場を作ることも『パスザバトン』の役割」とスマイルズ社長の遠山さん。そして、「その人が不用だと思っている品物でも、他の誰かにとっては価値ある品物なのではないかと考え、そこに込められた想いや知恵を、次についないでいく」という考えを紡いでいきます。

 未だに多くの企業で追及されている大量生産・大量消費の考え方を前提としたビジネスに対して、一部の消費者は、そういった市場の有り様に対して疑問を抱き始めています。大量の商品を短期間で売り切り、次の新商品をまた送り出していくスタイルの中では、安くてそれなりに質が良い商品ではあるものの、物量とそのスピードに圧倒されて丁寧に使おうという気分にはあまりなれないですね。

 適正な量と質の商品を、適正なサイクルで提供していく――「パスザバトン」のデザインした価値観は、今の時代における市場が必要としているに違いない。一気に火がつくというよりは、じわじわと広まっていく――そんな成長を遂げていく、魅力的なショップです。

PASS THE BATONの公式サイトはこちら